2017年1月30日月曜日

連載「アメリカ修士留学記(航空宇宙工学)」第3回:就活は大変だったが留学してよかった

関さんの修士留学記、最終回の今回は日本への就職の最終面接です。また、海外からの就職活動で気をつけること、留学で学んだ果実についてもまとめていただきました。


第2回より)

ボストンキャリアフォーラムから最終面接へ

ボストンキャリアフォーラム後、A社からは不合格の連絡がB社からは最終面接の連絡が来ました。面接は日本に帰国後ということになり、12月25日にすることになりました。私が帰国したのは12月14日だったので、面接前にB社で働いているOBの方を訪問することにしました。そのOBの方はリクルーターもやっており、面接がとても不安で仕方ないという旨を伝えると、エントリーシートの添削や面接の練習を引き受けてくれました。結局、面接までに3回ほど直接お会いしてアドバイスをしてくださり、最終面接では今までの面接で一番良かったかなと思える受け答えが出来ました。しかし、面接は少々圧迫のような気がしましたし、上手く答えられなかったところもあったので正直落ちると思っていました。しかし、幸運なことに私一人しかボストンキャリアフォーラムからB社を受けていなかったことや、英語が出来る人を欲しがっていたようなので面接当日の夜に内定をもらうことが出来ました。正直、日本の大学院に行っていたら受かっていなかったと思います。このようにして私の就職活動は終わりましたが、結局周りの人達の助けと幸運に恵まれた結果だと思います。

海外からの就職活動で気をつけること

正直私は就職活動をなめていました。日本にいる学生よりも苦労はしているし難なく内定を貰えるだろうと高をくくっていたのです。そういう姿勢は面接官に伝わってしまいます。また、面接官は留学生に対して、留学という困難を乗り越えた人という思いがあるので、当然困難な状況下での問題解決能力、主体性、行動力があることや他文化、他国の人々とのかかわり方を注視すると思います。それを念頭に置いて、自己アピール出来ると良いと思います。

留学生は、情報も入りにくいわけですし、エントリーシートもリクルーターが添削してくれるわけではありません。面接もどういった感じなのか分かりません。そういった意味では、日本といる学生と比べれば就職活動は大変だと思います。説明会も多くは参加できないので「この会社だ!」なんて思える会社はなかなか見つからないと思います。したがって、大学院から留学する人ならば、留学に行く前にインターンに行くとかOBさんに話を聞くとか、興味のある会社を(大変ですけど)探しておくとかすると、就職活動もやりやすくなるのではないのでしょうか。

また「自分がどういうことをやってきたのか」「どういうことをしたいのか」「何が活かせるのか」等、自己分析をしっかりしておくと面接でも答えやすくなると思います。正直、そんなこと急に言われたって・・・となりますけど、自己分析をしっかりしておくと筋が通った話が出来ます。なかなか思いつかない人は友人に聞いてもらったりして、他人からフィードバックをもらうと新たな自分の一面が見えてきます。私もそうでした。

留学を通して学んだこと・留学したい人へ向けて

私は留学して本当に良かったと思っています。人間的に大きくなりました(体も大きくなりました)。一番良かったことは、悪いところも良いところも含めて日本が好きだと再認識させられたことです。そして、日本を良い方向に変えてやるのだ!と思う心に薪をくべてくれたことです。これを読んでいるとアメリカが嫌いなんじゃないかと受け取られるかもしれませんがそういうことではありません。どんな国にも良いところ、悪いところがあります。そこに優劣はありませんし、そのことに気付かせてくれたアメリカに感謝しています。

アメリカでは色々な人と出会うことができました。世界の歴史や文化を知らないということが、とても恥ずかしいことだと知りました。「○○人だからこういう気質なのだろう」というのは偏見で、結局その人しだいなのだということも、当たり前ですが肌で感じることが出来ました。本当に自分が人間として恥ずかしい、ということを改めて思い知らされました。また、私は今まで人に頼らず自分の力だけで生きようとしていました。留学中の研究に関しては特にそうだったと思います。しかし、それには限界がありもっと助けを求めても良かったのではないかと今は思っています。 まだまだ他にも学んだことは多いです。しかし、人間というものは頭ではわかっていても実際に自分が経験しないと分からないことが多いようです。私の話は参考程度に読んでもらって、ぜひご自身の肌で感じてみてください。

遅すぎるということはありません。本当に留学したいと思うのならば、例え正規留学でなくても研究室の先生に頼んでみるとか、海外インターンに参加するとか、いろいろな方法があります。就職とかどうしようとか、将来の事なんか気にしなくていいです。やりたいと思ったらやればいいのだと思います。

私の文章が起爆剤として少しでも役に立てれば幸いです。そして、今まで支えてくださった教授ほか学校関係者、先輩方、友人、家族にこの場を借りてお礼申し上げます。質問等ありましたらお気軽にご連絡ください。

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○ 次回は2月下旬の発行予定です。お楽しみに!


第1回やろうと思えばできる
第2回アメリカから日本への就職活動
第3回就活は大変だったが留学してよかった

著者略歴

関 大悟 (せきだいご)
 2014年 8月 上智大学理工学部 材料力学研究室 卒業
 2015年12月 アラバマ大学大学院航空宇宙工学科 修士
 2016年 4月 重電系大手に就職(日本国内)

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発行責任者: 武田 祐史
編集責任者: 日置 壮一郎
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