2017年5月7日日曜日

「新留学生リレー日記」第7回 留学生の懐事情

新留学生リレー日記第7回では、留学のファイナンス方法に関して皆さんにお話ししていただきます。


1.大学や奨学財団からの金経済的援助など、どのような収入源がありますか?

私の場合、学費とは別に生活費として月に1,000 £もらっています。その他に、チュートリアル(個人指導)行ったときなど、週に100 £くらいの臨時収入もあります。研究室が独自にファンドを持っている場合もあります。
  奨学金として育英会より学費250万円/年、生活費200万円/年を、学科より年 1,000 $ の奨学金をもらっています。
研究室による雇用で、給料として、1,600 € (~18万円)貰っています。奨学金は、現在はもらっていないです。
基本的にみなさん奨学金または給料による収入があるようです。

2.年間の学費について教えてください!

学校や学部によっても大きく変わりますが、私の場合は年間16,000 £ (~230万円)の学費と7,000£のCollege feeの計23,000 £ (300万円)くらいでした。イギリス市民の場合は、4,500 £ (60万円)くらいです。イギリス人の場合は奨学金を持っていない人も自己ローンやアルバイトでまかなうことができていますが、留学生は奨学金等を用いて勉強している学生がほとんどの印象です。

  私の学校はクォータ制で、4,500 $/クォータ = 13,500 $/年の授業料がかかります。さらに留学生には上乗せの学費があり、こちらは年額で$ 15,000 になります。University of California系列の大学は州立にもかかわらず私立よりも授業料が高いです。 ただし、クオーター制(4学期制)ですが、UC Davisの場合は3学期分(Fall, Winter, Spring) しかとらない学生が多いため、夏学期の受講は選択制で授業は少ないようです。
また、アメリカの公立大学では基本的には州内 (in-state) と州外 (out-of- state) でかなり授業料が違ってきます。カリフォルニアのように倍程度違う場合もあります。ただし、学部の場合は編入制度がしっかりしているので、たとえば南部州(AK, OK, LA, MI, TX, TN)では近隣のコミュニティカレッジ(2年間の短期大学)から編入することで、進学先の大学が安くなる特典が受けられることがあります。

ドイツでは、2学期制が一般的です。国立大学が多いので、授業料は州によって異なります。私の州では、現在は授業料無料ですが、今後半期で1,500 € (EU外の学生のみ適用)になる予定です。ただし、博士課程の学生は学籍登録しなくてもいいので、学生の身分を放棄すれば払わなくても構いません。ただし、州によっては、学位を取るために一定の期間、学籍登録が必要な場合があります。

学費に関しては、行く大学、国によって大きく違うようです。これらも留学先を決める上で、大切な要素かもしれません。

3.その他のひと月当たりの生活費支出について教えてください!

合計でだいたい800-900 £/月 です。内訳は、
- 家賃: 600 £
(目安として、ワンルーム:1,200 £、フラットシェア: 500 £、大学寮:700 £)
- その他固定費:200 £ / 月 です。
健康保険料は給与天引きです。イギリスでの健康保険は国のもの(NHS)に強制加入ですので、健康診断等は無料で行えます。ただし質が良くないのでプライベートの保険を推奨します。また、イギリスでの年金は加入していません。

  合計でおおよそ1,400 $/月です。内訳は、
- 家賃:700 $
 (目安として、ワンルームアパート:1200 $、4人でフラットシェア:700 $)
- 食費:200 $
- その他固定費:500 $ です。
さらに、健康保険料4,500 $/年、また大学のレクリエーションセンター、ヘルスセンター、などの施設費の合計が 2,000 $/年かかります。

私の場合、約600 € /月です。 内訳は、
- 家賃:370 €
(目安として、ワンルームアパート:600-1,000 € 、フラットシェア:370 €、学生寮:150 €)
- 食費:200 €/月 です。
ドイツでは、年金や健康保険料は 給与天引きです。このため給料は 2,500 €/月ですが、手取りは1,600 €/月になります。

皆さん収支の上では、大きな支出がない限り、若干のプラスのようです。


(参考) 2017年4月現在の為替レートで換算
1 £ 英ポンド =136.04 円
1 $ 米ドル = 108.64 円
1 € ユーロ = 115.31 円

新留学生リレー日記
第1回 Oxford & UC Davis & Tübingen
第2回 英米独の学位制度
第3回 アメリカの大学院
第4回 ドイツの大学院
第5回 イギリスの大学院
第6回 Q&A
第7回 留学生の懐事情
第8回 オックスフォード生活とお金
第9回 ドイツ留学で気になるArbeitsvertragとStipend

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執筆者プロフィール

江口 晃浩(えぐち あきひろ)
高 専時代にAFSを通じてオレゴン州の高校で一年間の交換留学を経験。2008年より米国アーカンソー大学に進学し、2011年春に理学士(コンピュータ・ サイエンス)、2012年に教養学士(心理学)を取得。同年、英国オックスフォード大学大学院に進学し、計算神経科学の博士号過程に在籍中。ブログ「オックスフォードな日々http://hogsford.com
村瀬 彩華 (むらせ あやか)
カリフォルニア大学デービス校 食品科学科の修士1年生 学部卒業後に渡米
専攻は食品微生物学
川口 雄久(かわぐち かつひさ)
チュービンゲン大学 マックスプランク神経行動科学大学院のD2
学部卒業後に渡独 研究内容は視覚情報処理と意思決定

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発行責任者: 武田 祐史
編集責任者: 日置 壮一郎
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